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亀老山展望台

1994

設計:隈研吾

有名建築家が手掛けた、瀬戸内海の絶景を味わえる展望台。

世界初の三連吊橋「来島(くるしま)海峡大橋」を見下ろす絶景――しまなみ海道随一の風景を望むことのできるこの展望台は、愛媛県大島の南端の亀老山に位置する。設計したのは、新国立競技場の建築家として知られる隈研吾である。

 

標高307.8mの山頂はかつて小さな展望台のために水平に削られていた。その山頂に新たに公園をつくり山の復元を試みる計画だったが、そこで隈が考えたのは「見えない展望台」だった。

 

一般的な展望台は環境の中から展望施設を突出させることで展望を確保するが、ここで試みたのは復元された地形にスリット(切れ目)を入れ、その中に展望台を挿入することだった。 訪れる人は大きなスリットに導かれ、期待を高めながら擁壁に挟まれた細いアプローチを抜けていく。進んでもすぐに景色は見えず、期待とともに大階段を登るとはじめて眼下に絶景が広がるという仕掛け。一筆書きの順路でベイマツの集成材で架けられたブリッジや階段を巡りつつ、7カ所ある展望プラットフォームやデッキを巡り、様々な角度の景色を楽しむ事ができる。

 

当時40歳の隈が山頂に展望台を埋蔵することで見えない建築を模索し、周辺の環境の溶け込む「消える建築」という、その後も提唱している建築観・概念を提示、具現化した作品となっている。(text-Jiro Tsukamoto)

  • 展望台からは来島海峡大橋(4015m)を見下ろすことができる。©SETOUCHI | ARCHI-TOURISM
  • 駐車場から展望台へとアクセスする通路。©SETOUCHI | ARCHI-TOURISM
  • 展望台全景。地面を削りつくられているのがわかる。©SETOUCHI | ARCHI-TOURISM
  • 今治市方面を眺める。©SETOUCHI | ARCHI-TOURISM
  • 展望台という建築物が極力目立たないよう配慮され設計されている。©SETOUCHI | ARCHI-TOURISM

愛媛県今治市吉海町南浦487-4

しまなみ海道が通る、大島の亀老山にある展望台。

入園自由。

公園には無料の駐車場もある。