湊のやど 島居邸
2013
改修:桐谷昌寛
昭和初期の建築をリノベーション。尾道散策の起点となる一棟貸しの宿。
尾道水道を一望できる一棟もしくは半棟貸しの宿泊施設として2013年に出雲屋敷とともにオープン。もとは昭和初期(1931)に建てられた木造2階建てのスパニッシュ風住宅。尾道の街にも違和感なく調和しているスペイン瓦、丸窓やモルタル仕上げとスクラッチタイルを用いた擬洋風の外観を残しながら、和室の小部屋が多かった内部は、オリジナルの構造を補強しつつ不要な壁を取り除き、流動的でゆったりとした空間として甦らせている。
蔵を活かした大胆な吹抜けなど見せ場も用意された現代的な空間の創出に加え、宿泊者にわが家のような安らぎを提供するための近代的な設備の更新や、家具、調度に至たるまできめ細かく計画されている。まさに歴史的建造物の現代的な再生を試みた好例。キッチンも付いているので地元の食材を仕入れ自分で調理するも良し、隣接する敷地に建つ、スタジオ・ムンバイ設計の<LOG>で食事を取るも良し。決して1日や2日では愉しむことができない尾道で、歴史的な建物を味わいながら暮らすように長期滞在をしたり、大家族のように一つ屋根の下で賑やかに過ごしたりと、尾道ならでは新しい宿泊のスタイルを是非楽しみたい。(text-Jiro Tsukamoto)
広島県尾道市東土堂町11-12
TEL 0848・24・6669(LOGレセプションデスク 9:00-20:00)
同じ「湊のやど」の出雲屋敷の隣に建つ。
敷地はLOGともつながっていて行き来ができる。
宿泊者のみ見学可。