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Seto テラス

2013

設計:マウントフジアーキテクツスタジオ

造船工場を見下ろす丘に建つ、有名建築家が手掛けた集合住宅。

山の迫った海沿いの道をいくと丘の中腹にL字型のコンクリートの塊がみえてくる。マウントフジアーキテクツスタジオによって設計された、造船会社の家族向けの社宅だ。その姿は造船所に横たわる巨大な貨物船のようにも見える。瀬戸内の景観を特徴付ける造船所の大きなスケールと対比し、この地域全体のランドスケープを形成する一員となっているのだ。

 

その船首ともいえる南端は、なんと約12mも地面からオーバーハングし、丘の上から突き出ている。これは傾斜地という立地ゆえに、不安定な崖に構造的負荷をかけないよう工夫されたもの。8層のタワー棟を重しとしてそれを山側に配置することで大胆な跳ね出しを実現させている。これにより低層部の屋上には大きな平場ができ、山がせまったこの地域では確保する事が難しかった幅約26m、奥行き36mの平らなスペースを実現し住民に開放している。

 

各住戸は住宅で多くの設計実績をもつマウントフジらしく、大きな開口から光を大きく採りいれつつ、可動間仕切りによるフレキシブリティも確保するなど住みやすさも追求している。中廊下に光を導くライトコートや、枠のみえないガラスの建具やコルテン鋼を用いたスチールワークの美しいディテールなども見どころだ。

  • 集合住宅の外観。巨大な貨物船のようなデザイン。©SETOUCHI | ARCHI-TOURISM
  • 低層部の屋上から、各住戸へアクセスするための階段。©SETOUCHI | ARCHI-TOURISM
  • 低層部の屋上部分に設けられた階段入口。開口部から地階へ光を導く。©SETOUCHI | ARCHI-TOURISM
  • 低層部の屋上部分。住民が利用できる公共空間を生み出した。©SETOUCHI | ARCHI-TOURISM

広島県福山市沼隈町常石(一般住宅につき見学不可)