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浄土寺

映画「東京物語」にも登場する、尾道で唯一、国宝建築がある寺院。

尾道駅の東、海峡に尾根がせまったところに位置し、まるで尾道を見守るように建つ古寺。夜にはライトアップされ、しまなみ海道からもその姿を望むことができるこの浄土寺は、小津安二郎の映画「東京物語」にも登場する、尾道には欠かせない存在だ。

 

聖徳太子が開基とされ飛鳥時代の創建以来、火災などで焼失を経験しているが、平安時代以降繁栄した尾道の豪商により1326年に再建され現在に至っている。境内には現在、国宝の「本堂」「多宝塔」のほか、阿弥陀堂、山門、方丈、唐門、茶室「露滴庵(ろてきあん)」をはじめ、石造物、仏堂、絵画といった多くの国指定の重要文化財を有し、商都尾道の豊かさが窺える寺院である。

 

「本堂」(鎌倉時代後期/1327年建立)は福山市の明王院本堂と共に、中世の密教本堂の典型とされる。内陣は和様としながらも、外陣は天竺様の力強い架構がみられる中世折衷様としている。仏の墳墓(スツーバ)をルーツとする塔の形式のひとつ「多宝塔」(鎌倉時代後期/1329年建立)は、金剛峯寺、石山寺の多宝塔と共に、多宝塔の三名塔と称されることもある名塔だ。武将にして茶人であった古田織部による燕庵を模した三畳台目の「露滴庵」は18世紀初頭のものとされ、織部好みの燕庵型では最古のものとされる。足利尊氏が戦勝祈願をしたとされ「絹本著色伝尊氏像」も残る。是非訪れてみたい尾道随一の古刹だ。(text-Jiro Tsukamoto)

  • 浄土寺の山門。©Sira E.Goodman
  • 国宝である浄土寺の本堂。鎌倉時代末期、1327年に建てられた。©Sira E.Goodman
  • 国宝である浄土寺の多宝塔。鎌倉時代末期の1328年建立。©Sira E.Goodman
  • 浄土寺の阿弥陀堂。国の重要文化財。南北朝時代、1345年の建立と伝えられる。©Sira E.Goodman
  • 山門から尾道水道越しに、向島を見る。©Sira E.Goodman
  • 山門に至る急な階段。その上を山陽本線が通る。©Sira E.Goodman

広島県尾道市東久保町20-28

TEL 0848・37・2361

JR尾道駅より徒歩25分。

境内に駐車場(無料)あり。

ただしアクセスする道が狭いので運転要注意。

http://www.ermjp.com/j/temple/