洸庭
設計:名和晃平 | SANDWICH
現代アートを通して「禅」を体験する、体験必須のパビリオン。
天から降り立った未確認飛行物体か、はたまた巨大なタンカーか??? 7万坪を有する広大な神勝寺を散策していると、突如現れるその姿と大きさに誰もが息をのむ。これが世界的な活躍をみせる日本を代表する彫刻家・名和晃平とクリエイティブプラットフォーム「SANDWICH」の建築作品 《洸庭》 (こうてい)である。
《洸庭》 は現代アートを通じ禅の世界を体験するパビリオンとなっていて、やわらかな曲線で構成される長さ約45mの舟をイメージしたスペースが、海原に見立てた錆石の庭の上に浮かぶように建っている。近づくと全体がサワラの板材のみに覆われているのがわかる。名和がワンマテリアル、ワンテクスチャーをめざしたという素材感が際立つ。屋根は、伝統的な杮葺き(こけらぶき)の工法で約59万枚のサワラの板材が用いられているという。天然の板材は時間とともに、色が変化していくことも予想されている。
さらに近づきブリッジから内部にアクセスすると禅にもつながる思索の時を、現代アートを通じ体験することができる空間となっている。
ピロティ越しに見える日本庭園、石のランドスケ−プと、プラントハンター西畠清順によって植えられた「ソテツワラビ」や春・秋に咲く二期桜なども隣接のカフェとともに楽しみたい。山あいに浮かぶパビリオンは、名和晃平による外部と内部、上部と下部、そしてソフトとハードが一体となった体験をめざす新しい挑戦でもあるのだ。(text-Jiro Tsukamoto)
広島県福山市沼隈町大字上山南91
神勝寺内 TEL 084-988-1111(寺務所)
拝観時間 9:00~17:00(最終受付16:30)
見学には拝観料1200円が必要。
所要時間は約30分。30分ごとの入れ替え制で途中入場は不可。拝観時に受付で入れ替え時間の確認をした方がベター。
JR福山駅より車で約30分。