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せとの森住宅

2013

設計:藤本壮介

おもちゃのようなお家が並ぶ、建築家が手掛けた珍しい集合住宅。

世界中で建築プロジェクトを手掛ける注目の建築家・藤本壮介による、傾斜地に計画された造船会社の社宅。2戸を1棟とした13棟の、子供が描くような可愛らしい家型の建物が、等高線に沿って丁寧に配置されている。

 

その配置により、それぞれ住宅の向きは微妙な”ずれ”が生じているのだが、外壁を周辺の木々や空をおぼろげに反射させるステンレスの波板にすることで、この”ずれ”はさらに強調され、見る角度や天候、時間によりそれぞれの建物が実に様々な表情を見せる。晴れた日には外壁が青く染まり、曇りの日にはシルバーににぶく輝く。美しい夕陽の時間には真っ赤にそれを映すという具合だ。

 

棟と棟の間に塀などはなく、地域の樹木が100本以上植えられている。これによりプライバシーの確保と同時に、背後の山との連続性も確保している。周辺の民家にみられる坂道や階段のように、各住棟間にも階段や小径が地形に沿って巡らされている。丁寧につくられたこうした階段や物干のフレームなどはあえてランダムに配置されている。均質な外壁をもつ抽象的な家型が並ぶ新しさと、そこに無造作に挿入される「生活環境」としての住む人のそれぞれの生活のにじみ出し。この共存は周辺との調和も実現しつつ、今までにない、現代アート作品のような不思議な風景を生み出している。

  • ステンレス製の波板をまとった家型の建物が14個並ぶ。©SETOUCHI | ARCHI-TOURISM
  • 建物と建物の間に大きな仕切りがないため、ゆったりとした印象を受ける。©SETOUCHI | ARCHI-TOURISM

広島県福山市沼隈町常石(一般住宅につき見学不可)