秀路軒
1973
監修:中村昌生
抹茶と和菓子で一服もできる、本格的な茶室建築。
茶室研究の大家として知られた、建築史家・建築家の故・中村昌生(京都工芸繊維大学名誉教授。2018年没)。 この神勝寺では多宝塔や非佛堂の設計・監修などを手がけているがこの「秀路軒」も中村が設計・監修した由緒正しき茶室だ。
開基夫妻の名前に因んだこの秀路軒は、1788年に焼失した表千家の残月亭、不審庵を堀内不識斎が描きとった古図を中村が読み解き設計した茶室。残月亭はかつて利休が京都の聚楽屋敷にて豊臣秀吉を迎えたという色付九間書院を千利休の養子である少庵が写したものだ。十畳敷に、二畳上段、付書院などをもち、数寄屋づくりを書院にもちこんだ利休の色付九間書院の特色を伝えているといわれる。
露地も古図を元に、作庭家・中根金作が手がけている。この秀路軒には同じく中村の手による「利休堂」もある。参拝者は気軽に抹茶で一服できるほか(菓子付きで有料)、2017年には表千家同門会全国大会で家元席が行われるなど茶会も催されている。(text-Jiro Tsukamoto)
広島県福山市沼隈町大字上山南91
神勝寺内 TEL 084-988-1111(寺務所)
拝観時間 10:00~16:00
見学には拝観料1200円が必要。
抹茶和菓子セット800円。
JR福山駅より車で約30分。