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今治市伊東豊雄建築ミュージアム

2011

設計:伊東豊雄

しまなみ海道にたたずむ、有名建築家の建築ミュージアム。

大三島の南西、瀬戸内の海を望むみかん畑の斜面に弧を描く屋根が輝き、多面体の塔がそびえる。それが、伊東豊雄の自邸「シルバーハット」(1984)を再構築した棟と、「スチールハット」と名付けられた伊東自身による企画展示の場となる、2つの棟から構成される「今治市伊東豊雄建築ミュージアム」だ。

 

東京・中野に建てられた「シルバーハット」は薄い小さなボールト屋根で居住スペースを覆った開放的で軽やかな空間。建築学会賞を受賞した‘80年代の伊東の代表作のひとつでありながら、個人邸ゆえに体験することが難しかった名作だ。

ここでは伊東の家具を多く手掛けた大橋晃朗の家具の展示、伊東豊雄建築アーカイブが整備されるとともに、ワークショップの場としても利用されている。何よりもこの建築のもつ軽やかな開放性を瀬戸内の風景の中で自由に体験し楽しむ事ができる。

 

「スチールハット」は4種類の多面体が結合したミュージアムのシンボルとして大三島の自然の中に置かれている。3つの展示室、エントランスホール、4層の吹抜けを持つサロンからなり、内部は結晶体の中に入ったように天井、壁、床がパノラマのように複雑に連続していく空間となる。敷地内には、3つの伊東建築のスチール製モデルや「ティンバーハット」とよばれる小屋が点在する。それらをめぐるとき、「シルバーハット」と「スチールハット」が瀬戸内の風景の中で見せる実に多彩な表情も見逃せない。

 

大三島にはこのミュージアムの他にも伊東豊雄関連の建築が点在している。伊東豊雄設計の「今治市岩田健母と子のミュージアム」(2011)の他、伊東塾がリノベーションを手掛けた「大三島 みんなの家」(2016)や「大三島憩の家」(2018)などだ。せっかく大三島まで来たら、ぜひ一緒に巡ってみたい。(text-Jiro Tsukamoto)

  • 「スチールハット」の外には建築家・伊東豊雄が設計した建築のオブジェが置かれている。©SETOUCHI | ARCHI-TOURISM
  • 「スチールハット」の内部空間。垂直に立つ壁がない空間が連続する。©SETOUCHI | ARCHI-TOURISM
  • ヴォールト状の屋根が連続する「シルバーハット」。©SETOUCHI | ARCHI-TOURISM
  • 伊東豊雄の自邸「シルバーハット」を再現した建物。©SETOUCHI | ARCHI-TOURISM

愛媛県今治市大三島町浦戸2418

TEL 0897-74-7220

開館時間 9:00~17:00

月曜休館(祝日の場合は原則開館)

入館料840円。

ところミュージアム大三島のすぐそばに建つ。

http://www.tima-imabari.jp/