写真提供/ONOMICHI U2

ONOMICHI U2

2014

設計:谷尻誠 + 吉田愛 / サポーズデザインオフィス

建築家・谷尻誠 + 吉田愛がデザイン。街の人の流れを変えた注目のリノベーション建築。

中世から良港として栄えてきた尾道は、いま瀬戸内の観光としまなみ海道を巡るサイクリングの拠点でもある。この街の海側の顔ともいえる尾道水道に面した歴史ある海運倉庫を活かし、サイクリストフレンドリーなホテルをはじめ、レストラン、ベーカリー、カフェ、ショップなどが入る複合施設にリノベーションしたのがこの<ONOMICHI U2>。手がけたのは広島・東京を拠点に活動する広島出身の建築家、谷尻誠と吉田愛だ。

 

この広島県所有の海運倉庫「県営上屋2号」は、太平洋戦争中の1943年(昭和18年)に建てられた歴史的建造物。ゆえに、躯体には手を加えず、また将来的には現状復帰の可能性もあるという条件の中で、彼らが提案したのが「建築内建築」だった。解体が容易な軽量鉄骨を用いて尾道の街並のような「小さなスケールの連続と路地」をつくり、そこに様々な機能を持つスペースを配して利用者同士はもちろんのこと、尾道に住む人たちの出会いと関わりを促すよう意図されている。

 

使用されるマテリアルは「素朴さの中の洗練」というテーマに基づき、尾道の古い街から引用した木、石、モルタル、造船の町でもある尾道に因んだ鉄。照明などの細部やファブリックまでも地元に因んだものを用い、瀬戸内を体験できる空間をめざしている。地元の食材を用いたレストランやカフェ、瀬戸内暮らしをテーマにしたショップなどのソフトと合間って、この街らしさを現代的に解釈し再編集している。古くからある見慣れた倉庫の風景の中に現代性を挿入することで、「懐かしい未来」のような空間を提案し、街を刺激し続けるリノベーションの成功例として、今も全国からの訪問者が絶えない。(text-JIro Tsukamoto)

  • ONOMICHI U2内観。天井の鉄骨は耐震補強したもの。写真提供/ONOMICHI U2
  • ONOMICHI U2内観。サイクルショップなどが入っている。写真提供/ONOMICHI U2
  • ONOMICHI U2外観。左手に尾道水道が見える。写真提供/ONOMICHI U2
  • HOTEL CYCLEのフロント。写真提供/ONOMICHI U2
  • HOTEL CYCLE 客室。壁には自転車ラックが備え付けられている。写真提供/ONOMICHI U2
  • HOTEL CYCLE。両側に客室が並び、ドアの前には共有スペースが広がる。写真提供/ONOMICHI U2

広島県尾道市広島県尾道市西御所町5−11

TEL 0848・21・0550(HOTEL CYCLE)

JR尾道駅から徒歩5分。

GIANT STORE Onomichiでは自転車の販売・メンテナンスやレンタルサイクルなどのサービスがある。

https://www.onomichi-u2.com/