神勝寺「禅と庭のミュージアム」
7万坪の敷地に広がる「禅」の桃源郷。アート&建築が体験できる穴場寺院。
天心山神勝寺(しんしょうじ)は、臨済宗建仁寺派の特例地寺院である、そもそもは海難事故で亡くなった人びとの慰霊のため造船業を営む開基、神原秀夫によって1965年に創建された。赤松に囲まれた瀬戸内の自然の中に、本堂、国際禅道場、茶室などの歴史的建造物や現代建築までもが点在し、庭園を楽しみながら、座禅、写経のほか、墨跡、現代アートの鑑賞ができる。それらの体験を通じ禅と向き合うことができる場なのだ。
境内の入口となる総欅造りの総門は、かつて京都の旧・賀陽宮邸(かやのみやてい)にあったものを1967年に開基が譲り受け当地に移築したもの。総門をくぐると、中根庭園研究所が手がけた池泉回遊式庭園の賞心庭を囲むように、寺務所である松堂、洸庭、浴室、含空院(がんくういん)などが配されている。
茅葺きの屋根をもつ含空院(移築再建設計:桐谷昌寛)は滋賀県永源寺にあった1647年に建立された居所を当地に移築、茶房、ライブラリーとして再生したもの。近江地方で見られる二重の屋根をもつ民家風のデザインだ。見事に再生された茶房からは美しい日本庭園を望むことができる。日本建築の特徴である庭と建物が連続し一体となった環境づくりの「かた」を是非楽しんでほしい。
もっとも高い場所に位置する、無明院は神勝寺の布石となった建物。昭和の小堀遠州と称される作庭家・中根金作による「無明の庭」「阿弥陀三尊の庭」「羅漢の庭」と名付けられた広大な枯山水庭園、白隠禅師の禅画、墨跡のコレクションを有する荘厳堂がみどころだ。(text-Jiro Tsukamoto)
広島県福山市沼隈町大字上山南91
TEL 084-988-1111(寺務所)
拝観時間 9:00~17:00(最終受付16:30)
拝観料 1200円。
拝観料には「洸庭」や「荘厳堂」での白隠コレクションの入館も含まれている。
JR福山駅より車で約30分。